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 社会の「これから」をつくる研究所

 職員インタビュー

日本全国が研究フィールド!専門性を武器にして現場を飛び回れ!

野口 賢二(河川研究部 海岸研究室)



【仕事の内容】
全国を駆け巡って研究したい!そんなあなたには国総研をお勧めします。
 国土交通省の事業の根本を支えるのは自然現象に対する謙虚な理解です。 海の波、川の流れ、砂の気持ち、人の気持ちを感じることができなければ、いい計画・設計はできません。
 行政の「困った」に応えるのが国総研の仕事と考えています。 そして、我々が診るのは技術的な側面だけで足らず、今後の展開を予測し「困るだろう」を最小限にして「良かった」を生み出さなくてはならないと考えています。 だから、困っていること、困りそうなことがあれば、どこへでも行きます。

研究機関ならではの現場ネットワークを活かした現地調査も重視しています。 また現地感覚を身につけやすいように、同じ分野の研究に継続的に取り組めるように配慮されています。
 国総研は基準創りが目的のように捉えられる方も多いと思いますが、それは手段に過ぎないと考えています。 また、地方自治体や直轄事務所への技術指導も精力的に行っていますが、これも手段です。
 私は、特に技術指導に多く関わってきました。これらを適切に遂行するためには、情報や手段を取り揃えておき必要となれば適切に提供することが求められます。 このためには、その分野の背景を含めて深く知り、感覚として身につけることが必要と思います。このような視点からも人事面では配慮されていると信じています。

私の場合、現場事務所勤務2年、企画課2年の実務を挟み、20年近く海岸の研究に取り組んだおかげで、専門性を高めることができました。
 入所して初めの頃は、人間プロッターになるなと言われながら毎日作図(当時は手書き)でした。 図は論文の魂なので、仕上がりには厳しかったです。一方で、現場の技術指導に随行して肌で学ばせてもらいました。 当時はスライド映写機であり技術指導等での室長が行うプレゼンの送り出し操作の役目もして、「間合い」一つも重要であることを学びました。
 事務所での配属も「海岸出張所」という極めて専門性を高められる部署と配慮してくれました。 短い2年間でしたが、地元や漁業者の方々と直接接し、監理技術者や現場代理人とじっくりと工事や地元の話を聞いたり、台風の警戒態勢で詰めたり、多くの現場経験ができました。 また、研究所で得たことも確認できました。
 特に、事務所転出が伝えられた後には気持ちが大きく変化して、専門家として言うべきことは「その場で」言うべきで機を逸すると機は訪れないと意識するようになりました。 直轄海岸では、都道府県知事に代わり言わば国の威信をかけて行う工事であるため、往往にして重大な決定がなされます。 実際にこの海岸の会議で、この海岸の現在の姿を決定づけることとなった場面に出会いました。まさにこれが機でした。 これは、現在の海岸保全が目指す一つの方向ともなり、これに関わることができたことは政策部門の研究者としては感無量です。
 そして、企画課。ここは、国の方向性や法律との関係がより強いです。専門分野に関わる法律とは異なります。 しかも、国総研は土木、建築、港湾の交差点です。加えて国交省は全ての分野を網羅しています。入ってくる情報量たるやもの凄いです。 これも専門性を高めるのには非常に役立ちました。異分野の専門家の話を聞き質問し、共に困り解決する。 ここには、専門と社会の接続点があります。終えてみると、とっても良い勉強になっていました。

珊瑚礁域の砂浜も研究対象にしていますので、ウェットスーツを抱えて沖縄方面に調査に行きます。野外調査大好きなあなたと一緒に研究できるのを楽しみにしています
 旅先でサンゴの研究が必要じゃないのかと思ってから、ここまで来るには長い道のりでした。
 海岸侵食の主戦場は、主要4島の外洋です。これらは、陸地を起源とする鉱物の砂礫で構成された海岸です。 また、その砂は川や崖から海に供給され海岸に沿って移動します(漂砂)。海岸に供給された砂礫は、大局的に観ると、分相応の高さで移動し、あるものは落ち着き、目立つものはむしろ足早に去って行きます。
 しかし、サンゴ礁の海岸の底質は、サンゴのカケラや有孔虫の遺骸の生物由来のポーラスな砂礫で構成されています。 その特徴は、生物の生育により生産されること、枝状サンゴ片は孤立したり粒になると水と仲良く動き易いこと、生息域と言う面的な供給源を持つこと、砂浜の構成材料が膠結(*こうけつ)することです。
 これにより、従来の常識とは異なる海浜形成機構として考える必要が出てきます。これは現象としては面白そうですが、海岸保全事業の観点から究める意味があるのか、何に繋がるのか。 これら視点が無いと国総研の研究テーマに成り難いのです。
 じっと暖め続ければ、時宜は来ます。国土保全の上でサンゴ礁のメカニズムの重要性の認識が高まってきたのです。 そして、サンゴ礁や生物の先生方と議論し、いくつもの南方の海岸を観察して知見も集積できてきました。 だから、「サンゴ礁海岸の砂浜保全は内地そのままの海岸保全手法で行うのは気を付けましょう」と言えるようになったのです。 このたった一言を言えるまでに。
 そもそも、日本の海岸工学は、茨城県ひたちなか市阿字ケ浦海岸での大規模な現地調査で開花したと言われています。 当時の先輩方(先の土木学会会長である磯部雅彦先生も参加された)は、自ら計測装置を海に持ち込みマスクを着けて海底を観て、現在の海岸工学を築きました。 まさに、自ら水に入り砂の動きを砂とともに感じること、これ無くして海は語れません。 調査に用いられた桟橋は、旧土木研究所海岸研究室が継承し常陸那珂港が着工されるまで観測がおこなわれました。
 このように現象を確認し、示し、同調してくれる人を増やすこと。何を実現したいのか問い続けること。謙虚に誠実に取り組むこと。 さあ、ネットを捨てよ、海に出よう(**)。

(*)膠結:砂粒同士が接着物質により接合されること。
(**)業務で潜水するには潜水士の資格が必要です。

 
    水とともにサンゴ砂礫が舞い上がる状況             海底に出来た砂漣
(サンゴ礁海岸の基底は岩やビーチロックである)

国総研で全体像を知り、生の現場で修行し、その後自分をいかに新しい日本に活かすかを考えてください。 国総研にはUターン組やZターン組がいっぱいいます。今すぐ現場をやってみたい人も、初めに国総研を経験することをお勧めします。
 現場から研究に入るのは、気持ち的に敷居が高くなることや、優秀な人材を確保しておきたい現場側から抵抗が大きいと思います。 でも、初めに研究所を経験してしまえば、これらの壁はぐっと低くなります。ただ、現場で始めに覚えるべきことは遅れをとってしまいますが。。。 必要となればできます。私でさえも現場必須の新土木積算システムを今年になって初めて使い始めたのですから。

おわりに
 「御国のため」の研究者でありたいと思っています。 これは、あるアグレッシブな某大学教授に「どうしてそんなに頑張れるのですか」と尋ねたら、「野口さんはなんで研究やっているの?御国のためでしょ。 (私はこうしている。君は?)」と言われて。。それ以来、国とは、国土とは、保全とは、何かと考えるようになりました。 だけども、だから、そのために孤軍奮闘ということは良くあります。
 ここで、大河津可動堰の碑文を紹介します。
  「万象ニ天意ヲ覚ル者ハ幸ナリ 人類ノ為メ国ノ為メ」
 もし興味をお持ちになりましたら、この作者と背景に関わるもう一人の偉人も調べてみてください。

【仕事のスタイル】
 フレックスタイム制を使っています。自動車通勤をしていた時分は、没頭してどうしても退庁が遅くなっていました。 子供が出来てからは、バス通勤に変えました。バスは、20時12分が最終ですがこれが退庁時間の限度を設定できるので、都合が良いです (乗り遅れるとつくば市内の自宅まで2千円(タクシー+バス)、遅い時間だと6千円コース(全行程タクシー)となります)。 家でもほぼ同じ環境を整えたので研究については、データ解析や作図、論文作成ができます。実際にこの文章のほとんどは、帰宅後に作ったものです。

【生活環境】
 これから入省されようとする方はまだ先と思われるでしょうが、つくばは子育てには良いです。 子育てに関する助け合いが充実していると思います。
 「とかいなか」と言っているようですが、はっきり言っていろんな意味で「田舎」です。 所内に狸もキジも居ます。でも、不自由はほとんどありません。 ただし、敏感な方は、水には気を付けた方が良いと思います。(浄水器をつけるべし!)

 
    気候変動施策に関する欧州視察(随行)               岩盤観察の様子
       ロンドンテムズバリア訪問


<志望動機>
もともと研究者になってみたかったのですが、「君は研究に向いていそうだな」の恩師の一言で。
<趣味>
旅行、園芸、キャンプ、料理、どれも食べることに直結している。最近は、どれもご無沙汰気味。
ダイビングは趣味の領域に達し得ていない。食べられることのないように気をつけたい。

career
  ※国内発表は省略
1989年 入省
     旧建設省土木研究所河川部海岸研究室
1993年 旧建設省土木研究所河川部海岸研究室 研究員(現在の研究官)
1994年  研究所長表彰(津波の研究)
1995年  津波遡上に関するワークショップ(発表:於ワシントン大学)
1997年  国際津波会議(発表:於メルボルン)
1998年 旧建設省中部地方建設局沼津工事事務所富士海岸出張所 技術係長
2000年 旧建設省土木研究所河川部海岸研究室 研究員
2001年 国総研河川研究部海岸研究室 研究官
2002年 国総研企画部企画課 調査係長
2004年 国総研河川研究部海岸研究室 研究官
     国総研河川研究部海岸研究室 主任研究官
2007年  気候変動施策に関する欧州機関視察(随行)
2008年  USGS・USBR・国総研・土研共同研究発表会
     (発表:米国土木学会「世界環境と水資源に関する会議」於ホノルル)
現在に至る

国土技術政策総合研究所

〒305-0804
茨城県つくば市旭1番地


●問合せ、説明会等申込み先
【行政】
 人事厚生課 採用担当
 TEL:029-864-2206,1990
 E-mail:nil-recruit-jimu
     @gxb.mlit.go.jp
【技術】
 企画課 採用担当
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